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揚心館 CONTENTS

『一撃必殺』の極意を伝授

更新日:2022年8月8日


空手の技が『一撃必殺』のゆえん

空手の技と拳法の技は、攻撃するときの考え方が違います。空手は、ハンマーのように固く鍛え上げられた部分(拳など)で相手を打ち抜く一撃必殺が空手の特徴です。拳法は、スナップを重視して、一瞬相手の動作を止めることを目的として、関節技や投げ技などへつなげることを目的としております。実際は、空手と拳法だろうと相手を倒すための突きや蹴り技を有しています。

空手『一撃必殺』はできるのか?

素人であれば相手を一撃で倒すことは可能です。但し、相手が格闘技の経験者であれば、同じ攻撃をしたしても一撃で相手を倒すことは難しくなります。ただ、理論はあります。


理論①『自他一如 (じたいちにょ)』:相手と自分が一体感となる。つまり、相手の呼吸、相手の動きをすべて読めるようになること。単にがむしゃらに技を出しても当たらないのは、この極致に至っていないからです。ベストなシーンを考えると、攻撃を受けているなか、すべての攻撃を受け流すときです。そして、相手が疲れてくることが分かります。つまり、相手の動きが見えてきます。そして、必死に攻撃してくる格闘家に対して、動きをすべて封じることができれば、いくら体力がある人でも、それがプレッシャーになって想像以上の疲労を与えることができます。そこがチャンスです。

理論②『一の太刀を疑わず、二の太刀は負け』:薩摩(鹿児島県)で発祥した示現流の言葉です。極真空手が良く使うスローガンですが『一撃必殺』です。『自他一如 』であれば、相手の動きを威圧で制しているはずなので、コンビネーションを使わずとも一撃で倒せる技をもっていれば一撃で倒すことが可能です。

空手『一撃必殺』を極めるために

心技体を鍛え、多くの人と組手の経験を積むことです。そして、『自他一如 』と『一の太刀を疑わず、二の太刀は負け』とは、間合いと呼吸です。日本のプロキックボクシングの試合では、日本のランカー相手に、現役引退のタイ人コーチが試合にでてくることがあります。『自他一如 』が体に染みついており、『一の太刀を疑わず、二の太刀は負け』も備えています。あっけらかんと試合にでて、そのようなタイ人が日本人ランカーを簡単に倒してしまいます。知っている人は、タイ人の元ランカー選手のすごさを知っています。日本の空手家や格闘家は、相手を倒すことにこだわりすぎて、ムエタイ選手と比べると違うと感じます。


 ところで、示現流の教えのなかで『刀は抜くべからず』という教えがあります。武に優れた人物であれば、争わずに済ませられるという教えです。松濤館・空手道二十訓のなかに『一. 空手に先手なし』とあります。合気道の天才・塩田剛三先生は、『合気道の最強の技は、自分を殺しにきた相手を笑顔ひとつで友達になることだよ!』と言っています。一撃必殺の極意は、勝負のうんぬんではなく、『自他一如 の境界』から相手に対して刀を抜かず、ことを治めることが究極の一撃必殺だと考えます。


 血気盛んな選手は、『勝てばなんでもいいじゃないか』と思うかもしれません。だとしたら、『自他一如 』と『一の太刀を疑わず、二の太刀は負け』の極致に近いタイ・ムエタイ選手と拳を混ぜるとよいと思います。気合いと技だけでは勝てない相手です。このことに気づくはずです。この極致になると、相手を倒すことより、相手を生かす技も身につきます。また、歳をとってくると、現役選手のような戦い方はできなくなります。一生競技空手を目指すと言う方もいますが、最後は、勝負にこだわらない、自他一如の心の在り方を目指すようになると思います。

 


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